書評

資産運用のひとつとしての株式投資|現役大学教授が実践している堅実で科学的な株式投資法

以前株式投資をやっていました。当時は短期投資でした。それなりに結果は出ましたが、大きな結果は得られませんでした。その後FX等にも手を出し、改めて株の長期投資にも興味を持ち本書に手を出しました。

目次

本書を読んでほしい方

株式投資に興味がある方や今現在株式投資をしているもののしっくりこない方に読んでほしいと思います。投資手法は人それぞれであり、どれが良くてどれが悪いというものでもないです。株式投資のひとつのやり方として本書を見てみるのがよろしいかと思います。

著者の紹介

榊原正幸

青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授となっています。専門はファイナンスと会計、財務会計となっています。
大学のウェブサイトでも2019年3月29日更新時点では所属されています。おそらく今でも同大学に所属されているものと思います。著者のウェブサイト: 兜町大学教授の教え( http://www.prof-sakaki.com/zemi/

著者は大学教授であり、本書の内容が専門分野です。本書以外にも多数の株式投資に関する書籍を出しています。ひとつの投資手法として信頼できるものと思います。

構成と読みやすさ

本書は以下のような構成になっています。株式投資の専門書と比べるとわかりやすい表現で書かれていますので読みやすいです。ただ、どうしても専門用語が出てきますが、細かい意味までわからなくても株式投資をする上では問題ないと思います。どうしても気になる方はGoogleなどで調べながら読むと良いでしょう。

序章 株式投資は「人生100年時代」の必須スキルです
第1章 銘柄選別の手法
第2章 3ヶ月以内に結果が出て、勝率が8割もある理想的な投資法ー短期投資の決定版!
第3章 低PBR投資ー割安株への中期投資
第4章 人生100年時代に備える投資法ー配当重視型の長期投資

資産運用のひとつとしての株式投資

すでに人生100年時代といわれており、(今でいう)老後も長く多くの資金が必要となってきました。とはいっても、会社からいただける給料がそれに合わせて増えるわけではありません。なんらかの形で自分で増やしていく必要があります。

どうやって増やすか。選択肢はいくつもあると思いますが、本書ではそのうちのひとつ、資産運用に焦点を当てています。中でも株式投資を対象としたものです。

資産運用は自分の持っている資産を使ってその資産を増やしていくことです。株式投資はその人が持っているお金を使ってお金を増やしていくことです。中には購入した自宅マンションを人に貸している方もいらっしゃるかもしれませんが、それもひとつの資産運用です。

株には多くの偏見があり、良くないと思われている方もいらっしゃいます。その偏見の具体例について、以下のように書かれています。

株は怖い
株は難しい
株はバクチだ
株は、うさん臭い
株は額に汗して働いて稼ぐのではないから、よくない

それぞれについて、本書には著者の視点による考えが示されています。

わたしは、株は勉強しなければ勝てるようにはならないと考えています。そして、株は事業と考えています。事業だから良いときもあれば悪いときもある、トータルで上向きになるようにするために勉強するものと思っています。思っていても実践するとなるとまたひと苦労なのですが。

本書の勧める投資スタンス

株式投資の分類の仕方に株を持っている期間による分類があります。短期投資、中期投資、長期投資という分類です。本書ではどの期間が良いかではなく、人生設計のひとつの理想形として使い分けをしています。

それぞれの投資の考え方は、本書では以下のようになります。

短期投資:アクティブ投資、主に3ヶ月以内に結果が出るような投資法
中期投資:低PBR投資、割安株への投資で株価が上がるまで待つ投資
長期投資:パッシブ投資、配当重視型の投資。どちらといえば配当が満足いく限り、その株を持ち続けるといった投資

これを人生設計の中に置いた場合、以下のようにしています。

30歳から50歳まで アクティブ投資、低PBR投資
50歳以降70歳まで アクティブ投資からパッシブ投資へ移行期
70歳以降     金融資産2億円にするのが最終目標としているので、ここからは投資ではないですね。

著者は株式投資は20代から始めるのが理想としていますがあえて30代から書いているのは、おそらく株式投資をするための資金を20代のうちに作り上げることを意識されているのかもしれません。

本書の勧める銘柄選別

本書で勧める銘柄は東証一部上場企業で国際優良企業と財務優良企業としています。

国際優良企業と財務優良企業の条件については本書を実際にてにとって見ていただきたく思います。

株は安い銘柄であれば10万円から買うことができます。ですが、一部上場企業となると、それほど安く買える銘柄は限られてきます。具体的に調べたわけではありませんが、もしかしたらないかもしれません。そこで先程も書きましたが、20代のうちに株式投資をするための資金を作り上げることを意識されているのかもしれないと思ったのです。

本書の株式投資を行うには資金面がネックになるかもしれません。

まとめ

今のままでは老後は何らかの形で蓄えを増やしておかないと厳しくなってきます。そのための方法として本書では資産運用に視点をあて、その中のひとつである株式投資について書かれています。本書は株式投資を長期視点で書かれています。なので、人生設計の中に株式投資を組み込んで考えることもできる点が良いのではないかと思います。あとは最初の資金をどうやって作っていくかが課題ではないかと感じました。

個人的にも最初の資金ができれば、やってみても良い手法と思います。