書評

「墓じまい」の結末|「墓じまい」を考えている方の必読書

私が一人であり後を継ぐ者がいないので、墓じまいについて考えていました。そんなときに出会った一冊です。

本書を読んでほしい方

墓じまいについて考えている方、今一度お墓のことについて考えてみたい方にお勧めの一冊です。

著者の紹介

森下瑞堂(もりしたずいどう)

1958年5月1日、長崎県対馬市に生まれる。民放テレビ局報道カメラマン、テレビ番組制作ディレクター、テレビ・ラジオ番組構成作家、ラジオパーソナリティー、作詞家など、長年映像関係を中心にクリエイティブな分野で活躍する一方、会社経営にも携わる。倶利伽羅不動寺の取材をしたことをキッカケに出家、当時の森下永敏住職(現・大住職)から、「自分のキャリアをそのまま活かして、今までにないまったく新しいお寺を世の中に提案してほしい」との要請を受け、2015年に同寺二世住職に就任する。
「座右の銘」は、「人生に夢があるのではない。夢が人生をつくるのだ」。

構成と読みやすさ

本書は以下のような構成になっています。平易な言葉で書かれているので読みやすいです。

第1章 急増する「墓じまい」
第2章 霊魂と対話できるひと
第3章 五歳で死別した母親の供養
第4章 お墓は誰のためにあるのか
第5章 先祖供養とはなにか
第6章 供養における「的」とはなにか
第7章 私たちの時代のお寺

増える墓じまい

「中日新聞」(2017年2月3日付け)が行った無縁墓に関する調査によると、「公営墓地を持つ全国の政令指定都市と県庁所在地など計73自治体のうち、管理する縁故者がいなくなった『無縁墓』を抱えている自治体が約7割に上ることが」判明したといいます。

この調査が公営墓地を対象としたものなら、お寺の墓地を含めるとどのくらいになるのか気になるところです。ただ、無縁墓は多いことは間違いないと思います。
私も今のままなら、墓じまいを考えざるを得ないと思っています。それがお寺に迷惑をかけない方法なのかなと考えています。私が檀家となっているお寺では墓じまいを進めています。

変わっているお寺

本書の著者が住職を努めている倶利伽羅不動寺は変わっているお寺だと思います。
各宗派の人を受け入れているので、先祖供養も各々の宗派にあった先祖供養を提唱しているとのこと。

以前、ネットニュースで読んだと思ったのですが、僧侶が別宗派で葬儀をしたということで話題になっていたことがありました。
こちらのお寺はそれを隠さずにやっているようです。
亡くなった方の宗派に合わせて供養を行うということですが、珍しいと思います。
私はこのようなお寺を聞いたことがありません。
公営墓地ならまだわかるのですが、お寺の墓地で他宗派の供養を行うのは他ではないのではないかと思いました。

新しい時代のお寺

現在お寺は厳しい時代になってきています。
昔は誰もが死ぬときはお寺のお世話になっていたのですが、人工の減少、散骨などの新しい供養の始まりもあり、お寺のお世話になることも少なくなってきました。

こちらのお寺ではお寺のファンを増やすことにも注力しています。
滝行体験もその一つのようです。呼び方も「信者」ではなくファンクラブとしているようです。高野山でも参与会をファンクラブとして信者を集めているようです。
私はこの事自体悪いことではないと思います。
お寺は死んだときだけお世話になるものとなんとなく覚えてきてしまいました。
ですが、お寺でも現世利益のためのお手伝いもできます。
滝行もその一つだと思います。
個性あふれるお寺が出てきても良いのではないでしょうか。

まとめ

私自身が墓じまいを考えているところなので、とても考えさせられる内容でした。
が、本書は墓じまいの否定派のご住職からの意見です。
墓じまい賛成派のご住職はどのように考えているのでしょうか。
私の先祖のお墓があるお寺は墓じまいを勧めています。
勧めているというのは言いすぎかもしれません。
が、管理費を払っていないのか、「墓じまいを勧めます」と札がかけられているお墓もあります。
このようなお墓を見ると墓じまいも仕方がないのかなとおもうところもあります。
一方、倶利伽羅不動寺のお墓に対する考え方もわかります。ただ、お墓を作り直すにしても相当のお金がかかります。
最終的には自分で判断しなければなりません。その時の参考になる一冊でした。