書評

複数の自己を持つ|僕らの時代のライフデザイン

ブックオフを散策していたとき、本書に出会いました。タイトルからして今の時代の生き方みたいなことが書いてあるのかなと思い、興味を持ちました。帯に「高城剛氏推薦」と書いてあることにも惹かれ読むことにしました。

本書を読んでほしい方

昔からの観念での生き方を選択するのではなく21世紀の今だからこそできる生き方を選択してみたい方、興味がある方には一読する勝ちがあると思います。

著者の紹介

米田智彦

1973年、福岡市生まれ。青山大学卒。研究機関、出版社、ITベンチャー勤務を経て独立。フリーの編集者・ディレクターとして多岐にわたる企画・編集・執筆・プロデュースを行っています。
2005年よりWebマガジン「TOKYO SOURCE」を有志とともに運営。
2011年の約1年間、家財と定住所を持たずに東京という”都市をシェア”しながら旅するように暮らす生活実験「ノマド・トーキョー」を敢行。約50カ所のシェアハウス、シェアオフィスを渡り歩き、ノマド、シェア、コワーキングなどの最先端のオルタナティブな働き方・暮らし方を実践する100人以上の「ライフデザイナー」と出会い、その現場を実体験する。
2014年3月からウェブメディア『ライフハッカー[日本版]』の編集長に就任。
2017年6月、ウェブメディア『ライフハッカー[日本版]』の編集長、退任。
2018年2月、株式会社シー・エヌ・エス・メディア代表取締役に就任。
2018年4月、「クリエイティブ×ビジネス」をコンセプトにしたウェブメディア「FINDERS」を創刊。発行人兼編集長に就任。

本書は「ノマド・トーキョー」で出会った28人を通じて新しい働き方・暮らし方を示しています。その「ノマド・トーキョー」を敢行された方の書籍ですので信頼性は高いと考えています。

構成と読みやすさ

本書は以下のような構成になっています。決して難しい言葉は使っていなので読みやすいですが、新しい言葉が使われているので年齢が高めの方にはちょっと読みにくいかもしれません。わたし自身どういう意味かわからない言葉がありました。

プロローグ 「ノマド・トーキョー」という生活実験
第1章 「セルフデザイン」(しなやかさは「多面性」から生まれる)
第2章 「ワークデザイン」(「つながり」が生む働き方)
第3章 「リビングデザイン」(デュアルライフ時代の「多拠点住まい術」)
第4章 大航海時代のキャリアデザイン
第5章 「あいだ」を行き来するするこれからの人生設計プロローグ 「ノマド・トーキョー」という生活実験

複数の自己を持つ

「複数の自己」というと大げさな話ですが、多くの人が複数の自己を持っています。異なる自己を持ち続けられることが必要なのではないかと感じました。本書には以下のように書かれています。

心理学的には、複数の自己を持っていた方が精神衛生上効果的であり、逆に一つの役割を演じる専業主婦のような立場は、うつになりやすいというデータがあります。これは何も多重人格者になるということではなく、自分の関わる世界をより多く持ち、可能性を広げられるように準備しておくことが大切だという意味です。

複数の自己を持つことで、自分の知らなかった自分を知ることができ、一つの自己に限界や悩みを抱えたときのリスクヘッジにもなってきます。

デュアルライフをすることで得られるもの

ソーシャルメディアに接していると何人かの方がすでにデュアルライフを送っています。中には郊外に家族が住んでいて仕事で都会に出ているという理由でデュアルライフを送ってい方もいらっしゃいますが、それだけはなないです。

一体なぜデュアルライフをするのでしょうか。本書では以下のようなことがあげられています。

1.拠点を変えることで複数のペルソナを保つ

複数の自己を持つことのメリットがあることを先に書きました。その自己を保つための手段として拠点を変えてみることを本書の中の人たちは行っています。平日都会の雑踏の中で働くときは仕事人としての顔、休日郊外で家族と過ごすときは父親としての顔または農業を営む人などのように使い分けることで複数の自己を保っています。

2.文化格差の是正

逆に郊外に住んでいる方からすれば、都会と行き来することで地方ではわからない都会の文化に接することもできます。現代であればネットで様々な情報は入ってきます。

ですが生の情報を得たいと思ったらそこに住んでみるのが一番です。観光で行くという方法もありますが、それだけでは観光地の情報だけが入ってきて暮らしまではわかりにくいものです。これはわたしの経験によるものです。わたしは鎌倉生まれで鎌倉で育ちました。鎌倉に訪れる観光客は大仏などの観光地に行き、わたしが住んでいるような住宅街にはきません。地元の文化を知るには住んだほうがわかることもあるものです。

大切なのは「選択」と「意思」

本書では「あいだ」という言葉が多くの場面で使われていました。自分の可能性を一つに限定せず、他を切り捨てず、その「あいだ」を行き来するという変幻自在な生活を行うことで折れにくい自分になります。そしてこれからのライフデザインにおいてそのようなしなやかさを持つことであるとしています。

自分の世界を限定せず、「あいだ」を行き来しながら偶然に対応できるようにしたいとしているのです。

そのようにすることでさまざまなライフデザインを実践し、選択と工夫によって自分にあったライフデザインを作り上げていく。それを自己決定していく上で困難に出会うこともあります。だからこそ、そこから充実感が得られるのです。

まとめ

本書のタイトルに「ライフデザイン」という言葉が入っています。広辞苑には「ライフデザイン」という言葉はありませんので、「生活設計」の意味によれば

目標を立て、それを達成するための暮らしの進め方。

とあります。

何か目標があることがライフデザインのように感じる意味です。

ですが、本書に登場した方々は決してそうとは限りません。むしろちょっとした興味や自信で行動した結果なった姿のように感じます。

本書の最後の方でクランボルツが出てきますが、あーこれなのかとここで発見させられました。偶然のように見つかった幸運に出会うために行動しているのだと。