書評

知的生産の技術|そこには京大式カードだけではなく多くの技術が散りばめられていた

本の読み方、文章の書き方については他書でも参考になるものがあります。が、どうやって自分の知識・思考を整理、保管していけば良いのかわかりませんでした。特に後から振り返りやすくするためにどうすれば良いか。

私自身が期待しているのは、本書で書かれている「こざね法(p.220)」というものです。
自分の思考をどこかでデータベース化し、それを検索「こざね法」の如くまとめられれば良いなと思ったのです。

具体的にどうすれば良いのか浮かばなかったので、初心に帰るべく本書を手に取りました。

本書を読んでほしい方

知的生産活動に関わっている方。
知的生産活動における基本的な考え方や方法を知りたい方。

著者の紹介

梅棹忠夫

1920−2010年
京都大学理工学部卒業。理学博士。
京都大学人文科学研究所教授。国立民俗学博物館長を歴任。

構成

本書は以下のような構成になっています。

1 発見の手帳
2 ノートからカードへ
3 カードとそのつかいかた
4 きりぬきと規格化
5 整理と事務
6 読書
7 ペンからタイプライターへ
8 手紙
9 日記と記録
10 原稿
11 文章

要約

本書で取り扱われているのは、個人の知的生産活動の技術です。現在において独学も含めこの分野の書籍は多数存在しています。では、この書籍は発行された当時はどうだったのか。まったくなかったということはないと思いますが、ここまでロングセラーになった本はないように感じます。そういった意味で古典書の部類です。

具体的な方法論として現代社会において利用することはできる面もあると思いますが、ちょっともったいないと感じます。ですが、本書に書かれている考え方と方法はいつでも使える普遍的なものと思います。

ポイント1 カード式

一般的に何かを記録していくとき、ノートに書きます。最近の流行りではバレットジャーナルというものもありますし、私自身もノートを利用しています。ただ、これは検索性に乏しいという欠点があります。そこで、何らかの形で検索しやすくする手段が必要となります。

ひとつの方法としてあるのが、ルーズ・リーフ式のノートを利用することです。これはそれなりに使い勝手は良いと思います。私も以前利用していましが止めました。裏面を書く時、真ん中の金具?が邪魔になるのです。書くたびに外すのは手間なので止めてしまいました。

もうひとつの手段が本書のテーマとなっているカードです。
カードの使い方は本書によれば以下のとおりです。

  1. 見出しをつける
  2. 1枚1項目
  3. 分類しない

そもそも人はなんのため書くのか。
それは本書でも述べられているように「忘れるため」です。カードに書くのも同様です。ですから後から読んでわかるように、完全な文章で書くことを著者は勧めています。そして、それに対して見出しをつけておく。見出しがサマリーとなるのです。

1枚1項目で書くのは、カードを操作しやすくするためです。カードを「こざね法」を使って利用するためには、カードの入れ替えが必要になってきます。複数の項目が入っている場合入れ替えができなくなる恐れがあります。

本書を読んで興味深い表現だったのは「分類が目的ではない」というところです。分類は必要だろうと思っていましたが、違うのですね。カード化するのは分類するためではなく、活用することが目的なのです。活用するためには操作しやすくすることが重要なのです。ひとつの分類に分けて、発想を固定化するよりも広く利用することに良さがあるのかと感じました。

ポイント2 スクラップ・ブックとキャビネットファイル

現代社会では多くのものがデジタル化されています。保存するにしてもデジタルデータとして保存する方向で進んでいます。それでも、まだ紙の文化は残されています。デジタル化をどこか精神的に拒否してしまっている場合もあるかもしれません(かくいう私もそのひとりです)。

今でも利用されているであろうと思われるのが、スクラップ・ブックです。本書に書かれているような新聞の切り抜きは現在はないと思います。個人的には領収書関連には今でも使えると思いました。今は袋にまとめて入れていますが、スクラップ・ブックのように貼っておけばなくすことはないでしょう。それ以外に利用方法が浮かびませんでした。

今でも利用されていると思われるのが、フォルダーです。本書ではオープン・ファイルのフォルダーとキャビネット・ファイルのフォルダーが分けて書かれています。ただ、私が具体的な商品としてその2種類の違いがわからなかったので、ここでは両方を含めたフォルダーで考えます。私はフォルダーは確定申告書類の保存に利用しています。GTD(Get Things Done)の中でフォルダーを使ったシステム(43Folders)が紹介されていました。ですが、私はうまく活用できませんでした。文書の利用がなくならない以上、フォルダーの利用も考えておいて良いように感じました。

ポイント3

読書論については多くの書籍が存在します。本書の中でも読書論について触れられています。著者の読書法は以下のとおりです。

  • 一気に読む
  • 傍線を引く
  • 読書ノートを書く
  • 2度読む
  • 2重に読む
  • 創造的読書

私が今やっている読書法は以下のとおりです。

  1. マインドマップを書く
  2. 一気に読む
  3. 抜書きする
  4. 書評(感想)を書く
  5. ブログに投稿する

マインドマップには書籍のサマリーになること、キーワード、書籍から得たい内容を書きます。別にマインドマップでなくても良いのですが、マインドマップを利用していきたいと思って書いています。マインドマップを書くと、一気に読みます。その際に傍線は引きません。付箋を貼ります。

終わると翌日以降抜書をします。そして、書評を書きます。書評はさらに翌日以降書きます。マインドマップを書くのと読む日は別のほうが良いように思うこともありますが、今のところ同日内です。ちなみに本書はこの読み方を取っていません。たまたま読む時間がなかったので細切れ時間を利用しました。

私はこうすることで著者のいう「2度読む」を行っています。

これからやっていきたいのは創造的読書ですね。著者のいう創造的読書とは、「自分の思想を開発し育成する」読書です。著者のいうことを正確に理解することは大切ですが、それだけではなくまったく新しい思想を生み出すことをいっています。
こういう読書ができるのが良いですね。

まとめ

本書を読む目的は知識・思考をどう整理するかでした。本書を読むのと並行して、いくつかのアプリも試していました。Notebookというアプリがカード式に近いかなと思いました。さらにはNotionもいいかなと思っています。Notionは親子関係を自由に変えられそうなので思考を組み立てるのに使いやすそうに感じました。

ところで、本書も抜書きをしました。そこで感じたのは、この書籍は本当に手書きで作られたのではないかと感じたことでした。なぜなら、異常なほどひらがなの利用が多かったからです。私は抜書きをタイプ打ちしています。当然漢字変換されることが多いのですが、変換不要の場面が他書に比べて多いと感じました。著者が意識的にしたのかもしれませんが、他書にはない特徴でした。